母親の嘘

私が小さい頃から、母親は私によく嘘をついてきた。

嘘の内容は些細なことだったけど、小さい頃の自分は母親は頼れる人だと思っていた。だから心の底から信じてしまって辛い思いをした。

 

 

6歳。初めて歯医者に行った時に嘘をつかれた。

育児放棄のせいで私はひどい虫歯になって、子供専門の歯科医がいる家から少し離れたクリニックまで行くことになった。

祖母が母親として責任を果たせ!みたいに言ったのかね、ひきこもり母親も車に乗ってついてきた。

でも母親は私に「歯医者さんは怖いよ」「注射されるよ、痛いよ」と不安を煽ることを言ったらしい。それで私は怖くってクリニックの入り口でうずくまって泣いてしまった。それでその日は受診できなかった。

後日改めて母親なしで歯医者さんに行った。その時は「帰りにおもちゃ買ってあげる」と祖母に言われていたので怖がることなくいけたらしい。祖母に聞いた話。

そもそも虫歯の原因を作ったのは母親なのに、なぜああやって私を困らせたんだろう。自分が人前に出たくないから嘘を吹き込んだとか?

虫歯の激痛でえーんと泣いている私を襖を固く閉じて部屋にこもって無視したし。歯医者に行かせようとしないし。ほんとクソ野郎よ。

 

 

自分が5歳ぐらいの頃、祖母の作った夕食にキノコが出た。自分は今までキノコを食べた記憶なくって不安で、母親にこれは食べてもいいものか尋ねた。

そしたらきのこには毒が入っている、食べると死んじゃうよ!と母親は言った。

じゃあ食べられるものじゃないなと残そうとした。だけど祖母からは残さず食べなさいと言われた。

祖母の言うことは守らないと叱られるので、半べそかきながら平らげた。これを食べたら死んじゃうんだと切ない気持ちになっていた。もちろん死ぬことはなかったけどね…。

 

 

交番に行くとお巡りさんに逮捕されるよ!と言われていた。それなので怖くて私は交番に寄り付こうとしなかった。

でも小学二年生の頃、分厚くてカードがたくさん入っている財布を道で拾ってしまった。一緒にいた家族にそのことを伝えると、交番に届けようということになった。

私は乗り気でなかった。だって交番に行ったら財布を盗んだと言われて捕まってしまうんだから。自分は悪いことなんて何もしていなかったけど、自首する気分で交番に向かっていた。緊張していた。

その場に母親がいたらまた、お巡りさんに捕まっちゃうよ〜って言ってきたに違いない。

私は逮捕されることなく、無事交番に届けることができてほっとした。財布の持ち主からお礼された。うこっけいを育てているらしく、卵を二、三個もらった。

私は一個も食べさせてもらえなかったけど、おかげで交番恐怖症を克服することができた。うっう😭

 

 

母親のしょうもない嘘でも、ピュアな私は完全にだまされてしなくていい緊張ばかりした。そんな話。

母親がこんなこと言ってこなければ変な苦労をせずにすんだのに。何がしたくてこういうことを言ってきたのか。冗談? 無表情でいつも言ってきたから本気で信じ込んでしまったけど。真意はよくわからないままだ…。