漢姓の男の子
小学校入学して間もない頃にクラスメイトの男の子に酷いことをしてしまった。今もずっと悔やんでいる。
その子Hくんは中国系の苗字だった。響きが日本では聞かないような珍しい読みだった。
あの日のことはよく覚えている。Hくんが先生に呼ばれたとき、隣の席のKくんがニヤニヤしながら私に耳打ちしてきた。
あの子の名前、〇〇みたいで面白いね。Kくんは楽しそうに言っていた。
私は例によって保育園や幼稚園に行っておらず、その上母親からはペット扱いされていて正しいコミュニケーションの仕方が身についてなかったため、相手の立場になって考えることができなかった。
社会生活を始めたばかりでよくわからないことばかりだった。経験不足。
だから私は笑うKくんを見て(これって面白いことなんだ!みんなにも伝えよう!)と考え、私はクラス中に聞こえるよう大声で笑いながらKくんと同じことを言ってしまった。
教室は凍りつき皆が私を見ていた。先生に怒られ、Hくんに謝るように言われ謝った。
Hくんはひどく傷ついたようで無表情になっていた。
私はそこで初めて「よくないことを言ってしまったんだ」と知り、言葉で人が傷つくことがあると理解した。(理解はしたが失言しまくる家族の影響で長い間相手の立場を考えて発言するのが難しかった)(今も治っているか怪しい)
それから卒業するまで、Hくんから同じ学校にいる間はひたすら嫌われていた。ぼんやりしていると叱るように私を非難してきた。仕方ない。
Kくんに耳打ちされたとはいえいろんな理由があったとはいえ、私が悪いことに変わりない。
思い出すたびに申し訳ない気持ちになる。クソガキの私を許すな!!!
移動教室で工事現場のようなところに行った。その日は蒸し暑く、風もふいてなくて汗がとめどなく流れていた。
喉が渇いてその場でもらったペットボトル入りの水を飲もうとしたけれど、手汗と脂で滑ってなかなか開かない。喉の渇きと暑さで苦しんでイライラしていた。
その様子を見てHくんは「手汗で滑って開かないんだよ」と愉快そうにバカにしたように笑っていた。
今も皆で私のことを笑っていてほしいと願っている。今も昔も私は社会について右も左もわからないガキなので鼻で笑ってほしい。
でも、わざわざ私のことを思い出す人なんてもういませんよね。今、昔の同級生のことを毎日思い出しているのは私だけでしょう。
一番恐れているのは本当の私を知った上で笑われることだ…。
一人で馬鹿騒ぎしている私は偽物。問題を隠すために、コミュニケーションが取れないけど人と関わりたいがためにあんなことをしていた。
本当の私を知られて笑われるのが一番恐ろしいわ😭 だから昔の自分を皆で笑っていてほしい。もう忘れられているけど…。