クラブメイト

高校生の時のクラブメイトのHちゃんがADHDっぽかった。

私と同じ美術部に入った人で、中学でも美術をしていて恐ろしく絵のうまい女の子であった。愛嬌があって誰とでも楽しく話せる人であった。でもちょっと失礼なことを何も考えずいってきたり、毎日のように遅刻をする人でもあった。

私はその子の言動にそこまで苦しめられたわけではないが(むしろ疲弊させてしまったかも)、唯一の同学年の部員でいろいろと印象的な人なのでちょこっと覚えている。

 

 

下級生とHさんと私で話している時に、Hさんは私を「寡黙だからなんか話しにくい」というようなことをいって笑った。下級生はエヘヘ上部だけ笑い、私も上部だけエヘヘと笑った。私は静かに傷ついた…。

部活顧問とHさんと私である場所の話をしていた。自分は地名を言われてもそれがどこだかすぐに思いつかなくて「どこだかよくわからない」と言うと、Hさんは「有名な場所だし、普通の人なら知ってますよね?」と先生に言った。先生は「普通の人でも知らないこともあるし」と我を擁護してくれた…。

こう言うことが何回かあったので、彼女は思いついたことをパッと言っちゃうタイプの人なのかな〜と思っておる。

でもアスペルガーっぽい友達と同じような自閉的なタイプではなかった。友達もいっぱいいた。いっぱいいるおかげで友達のいない私にも顔見知りができた。

 

 

遅刻とかも常にしていた。朝の自習タイムには必ず遅れてやってきていた。

二年生の時、Hさんと同じクラスになった。

修学旅行の前に、空港で待ち合わせをする訓練をするために遠足があったのだけど。Hさんは二時間ほど遅れてやってきた。班員全員で待った。早起きできなかったみたい。

電話口でため息を吐いた冷血漢先生に頭ごなしに怒られて、他の先生に止められていた。みてて本当にヒヤヒヤした。

私はいつまでも待ち続けられる人間だし、なんとなく彼女の性質を知っていたので苛立つことはなかった。班員も同じような感じだった。一方的に責められて本当可哀想よ。Hちゃんの家の近くに住む子が修学旅行の日に迎えに行くという話になって安心した。

でも「怒ってる?」と不安そうな顔して聞かれた時「私は大丈夫だけど他の人はどう思うかしらない」と、粗雑な態度ととれることを言ってしまった。すみませんね…。

他の班にも大幅に遅刻をした男の子もいたし、自分も朝どうしても起きられないことがあったし。病むほど気にしてなければいいのだけど。

修学旅行のホテルで同じ部屋になったのだけど、その時は風呂に入らず夜遅くまでずっとFGOをしていたみたい。翌朝も時間ギリギリまで横になっていた。時間を使うのが苦手みたい。

提出物もいつも期日までに出さなかった。いつも冷血漢先生に呼び出されて怒られて、放送が流れるたびに怯えていた。

 

 

国衙がやたら得意である時、進研ゼミの模試では学年二位になってた。やばい人は何故か国語が得意と言われているけど、彼女はそれを体現していたね…。あとカービィも好きらしい。偶然かもだけれど。失礼ですみませんね。

語彙も豊富で、会話するたびに難しい言葉がポンと出る。私はHさんが何を言ってるのかたまに理解できなかった。私に語彙力が無いせいでもあったが。

別居中の父親の話や、教育虐待をしてくる母親の話をいつもしていた。家は私と同じでゲーム禁止。大学は国公立一択と言われていて選択の自由がなく、「ほんとは大学に行きたくない。パン屋になりたい」と一時言っていた。高三に上がった時、母親が折れてデザインの学校に行っていいと言われたと嬉しそうにしていた。

絵が恐ろしく上手い。デッサンも絵の具の使い方も中学で美術部やってたのもあって上手い。とても器用で創作に意欲的。でも寡作。じっくりゆっくり描いているから。

イカ、浴槽、美術室のリアルスティックな絵を書いてた。ゴミ絵を量産していた私とは大違いだ。大学は彼女の特性的に厳しい環境かもしれないけれど、技術力のおかげできっとうまくやっていると思う。

私はHちゃんのおかげで鉛筆キャップ並みだった視野が広がった。自分一人でずっと絵を描いてきて、自分がこの世で絵一番上手いと思い込んでいたので、彼女に出会って衝撃を受けた。絵ってこういうものなんだ〜とあの人のおかげでいろいろ学べて絵が上手くなったわ。ガサツなのはどうしても変わらなかったが。

学校に通わされ続けて意識障害知能障害が出た時に、部員やHちゃんに卑屈な態度をとって迷惑をかけまくって本当に申し訳なかった。私も悪いがあれは病気の生徒を通わせ続けた学校の過失だと思っている怒。

彼女がADHDだとは断定できないけれど、それっぽい感じの人だったって話でした。